1/1

ハン・ガン回復する人間

¥2,240 税込

SOLD OUT

別途送料がかかります。送料を確認する

この商品は海外配送できる商品です。

ハンガンの小説ではよく血が流れる。誰かが傷ついている。彼女が感じている痛みを、文字にして小説の形で刻みつけているみたいで、その痕をなぞり、いつも一緒に傷つきながら読んでいく。短編集の中の1つが『回復する人間』というタイトルで、邦訳版では本全体にこのタイトルが付けられている。けれど、この中に回復そのものが描かれている人物はほとんどいない。回復の兆しがほんの少し見えるか、絶望的なところで物語は終わる。彼らの回復は読んだ後の私たちが想像するしかない。本国でのタイトルは、トカゲの名前で、その名前は、「永遠」と同じ音を持つらしい。私たちはトカゲみたいに切っても切っても再生する訳ではない。傷ついた心も体も、元の形には決して戻らない。けれど、日常生活の中でこの小説の中の場面がふっと思い出されることがある。小説の形になると、回復できない痛みに立ち向かう人たちの姿が永遠にると思うと、少し救われるような気になる。痛みとともに生きる私たちに回復への希望を与えてくれる本。

SOLD OUT